若者の「問い」に地域が答えられないリアル、白鴎大学小笠原ゼミ成果発表会

若者の「問い」に地域が答えられないリアル、白鴎大学小笠原ゼミ成果発表会

7月21日、栃木県小山市にある白鴎大学経営学部小笠原ゼミの成果発表会に参加しました。コロナ禍で外部からの参加が見送られていたため、私は4年ぶりの参加です。

題目は「ポストコロナにおける、都市の場づくりと交流」です。

新型コロナウイルスの感染拡大から3年、政府の対応モードが変化する中で我々の生活も「ポストコロナ」という段階に差し掛かっている。都市の様相も移り変わる中で北関東での都市の場づくりや交流の状況に着目し、道の駅や図書館、更には子ども問題や観光産業など具体の課題について調査、ヒアリングを行いその分析結果も含め発表を行い今後の都市戦略に必要な方策をゼミナールII(4年生)の学生が提案してゆく。

最初のグループが「概説」を発表し、残りグループが「概説」を土台に「子どもに向けた居場所づくり」「観光における交流」「道の駅・図書館」のテーマで発表のあと、質疑応答という流れ。参加者は学生、OG/OB、市役所職員、NPO(私)と4年前と比べ、引き続き感染症対策のため外部参加者は制限ありでした。

最初の「概説」で

  • コロナ禍によって私たち学生の生活に影響があり、さまざまな機会が失われた
  • オンライン中心の授業となり、対面での会話の機会が失われた
  • 楽しみにしていた学校イベントが中止になった

と発表があり、新型コロナが学生に与えたさまざまな機会の「損失」をリアルに感じ取ることができました。これら損失を「社会関係資本の損失」と捉え、社会でのつながり、つながりを強める要素としての「都市の場づくりと交流」が必要だという問題意識を持って発表が行われました。

グループ発表は、自分たちのグループテーマを事前調査、現地での関係者ヒアリング、それらエビデンスに基づいたまとめ。各グループの発表を聞いていると、まず感じたのは「コロナ禍があったのに、よくここまでまとめたな」です。政府の行動制限が解除されたのは5月、発表会は7月、リアルに動きやすい期間は3カ月もありませんでした。

発表を聞いて違和感があったのは「問い」の掘り下げがもう一声なこと、ヒアリング先・現地調査で行った「問い」に対しての調査結果が浅かったり、なかったりしました。「これは変だぞ」と頭のスイッチが切り替え、その後の質疑応答でも質問しましたが、明らかになったのは「若者の『問い』に地域が答えられないリアル」です。

ある施設では計画時点での目的と実施時点でのKPI設定が矛盾していました。しかもヒアリングへ行った学生に「数字は教えられない」と返答する惨状。「いや、それ税金で運営しているんですよね」と思いました。ある施設では計画開設時点での担当者が配置換えでいなくなり、現在の担当者は「なぜこの施設がこのような形で作られ、運営しているか」をまともに答えられませんでした。話を聞いていて学生がかわいそうに思えました。地域へヒアリングしに行ったら「EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング=エビデンスに基づく政策立案)をやってない。やっているのはPBEM(ポシリー・ベースド・エビデンス・メイキング=政策に基づきエビデンスをでっちあげること)だった」ということが明らかになってしまった。

適切な努力を積み重ね学んだ学生からの「問い」に地域が答えられないのは非常にまずいです。ある学生からは「地域がこんなにひどいとは思わなかった。就職先を考え直そうかな」という声を耳にしました。

私たち地域に関わる大人は、若者の「問い」にきちんと答えられる準備と行動をしなければならないと考えます。特に学生・ゼミからのヒアリング依頼があった場合、それは真剣勝負です。若者だから子どもだからとなめてかかっていると痛い目あいますよ。

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代表理事 山田 雅俊

NPO法人コムラボ 代表理事、足利経済新聞 編集長、サードプレース「マチノテ」運営 。生業はIT系。システム開発、Web製作などIT業務の経験を生かし、地方都市における情報格差の課題解決へ向けて企業・NPO法人の両面から取り組む。