コワーキングスペース SPOT3は気がつくと3年が過ぎていたので今までを振り返ってみた。

この記事は、コワーキング Advent Calendar 2015 3日目の記事です。2日目のはずが実質1日目になってしまったコワーキングスペース茅場町 Co-Edo田中弘治さんからバトンを受け取りました。

私たちNPO法人コムラボが運営しているSPOT3は東京から2時間くらいの距離にある栃木県足利市に2012年7月オープンしました。そろそろ3年半になります。3と名がつくのに3周年記念イベントをすっかり忘れているくらいマイペースにやっています。現在、JR足利駅北口すぐそばのテナントビルに入居していますが、過去に2回引っ越しをしました。スペースとしては3回作り直しています。この記事では場所も状況も違う3つの場所でコワーキングをしてきたのでこれを機会に今までを振り返ることで何かのご参考になれば幸いです。

1代目SPOT3(2012年7月~2014年3月、ショッピングモールの中のコワーキングスペース)

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最初に作ったSPOT3は足利市街にあるショッピングモール あしかがハーヴェストプレース(現・アシコタウンあしかが)内にOPENしました。某有名コーヒーチェーン店の居抜き物件です。何せお金がなかったので内装工事いっさいやらない、机とテーブルは施設の余剰品の借り物、初期投資としてはネット回線を引いて屋外サインを作ったくらいでしょうか・・・。

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この場所に作ることができたのはコムラボが2010年から活動しているインターネット放送局 足利テレビでつながった人の輪のおかげです。活動を続けていく中でファミレス、ファストフード、市民活動センターを転々としながらのノマドなやり方がだんだんと大変になってきて「拠点が欲しい!」「放送スタジオが欲しい!」と思ったのがきっかけです。拠点を持つにしても固定費が掛かるのでどうしようという課題があって、当時、日本でも流行始めたコワーキングスペースにすれば多少固定費が賄えるんじゃないか?ということで結果的にコワーキングスペースとしてOPENしました。

ご覧の通り大規模商業施設なので駐車場が広くて、まちなか再生でよくある駐車場問題とは無縁。一通りのお店が入っているので買い物にも困らず便利でした。

良かった点

  • 今までに「まちづくり」「地域活性」と接点がない人との出会い。この場所での出会いをきっかけにコムラボに入ってくれた方が現在の主力メンバー
  • 商業施設の中なので便利
  • 駐車場約1500台

課題・反省点

  • 居抜き物件をそのまま使ったため「自分たちの場所」という感じがしなかった。ワークスペースとしての空間演出ができず・・・
  • 商業施設ならではの制約。
    • 商業施設の外観規定により外から丸見え、ワークスペースとして何か集中できない
    • 営業時間の制約
  • 喫茶店だと勘違いして入ってくる方の数>SPOT3のお客さん数orz

2代目SPOT3(2014年3月~2014年12月、バー・音楽練習スタジオとタイムシェア)

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2代目SPOT3は入居していた商業施設の大規模リニューアルの計画のため、次の場所を探すことになりました。今まで商業施設の中に入っていたので今度は中心市街地へ引っ越そうと入りたい物件を探したのですが、空き物件なのにオーナーが貸さない事案に遭遇。ここで何故、足利がシャッター商店街を維持できるのかリアルに理解しました。この話は今回のテーマと違うのでそのうち別の記事で書こうと思います。

次の物件が見つからないのに退去期日は迫っているとき「いっそのこと一度閉めてしまおうか」と悩んだのですが、続けることが重要だと考え、友人が営業しているバー兼音楽スタジオをタイムシェアする形で続けることにしました。バーの営業時間とSPOT3の営業時間が良い感じに被っていないので昼はコワーキングスペース、夜はBarという空間です。

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良かった点

  • コワーキングスペースとしての営業を止めずにできた
  • タイムシェアなのでコストを抑えられた
  • 音楽の練習スタジオをそのまま足利テレビの放送スタジオとして使うことができた(録音環境って重要だと改めて認識。音質UP)

課題・反省点

  • (前回と同じ)居抜き物件をそのまま使ったため「自分たちの場所」という感じがしなかった。ワークスペースとしての空間演出ができず・・・
  • 借り暮らしならではの制約
    • 夜イベントはBarの定休日のみ
    • 元気なバンドがスタジオに入っているときに隣の部屋でミーティングをやると声が聞き取れないw

3代目SPOT3(2015年3月~、今までの課題・反省点を活かして3度目の正直!?)

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いま居るのが3代目となる場所です(屋上に黄色い看板があるビル)。JR足利駅北口徒歩1分。改札を出ると建物が見えます。コムラボの活動を続けていく中で「やっぱり24時間365日自由に使える拠点が必要だ」ということになり、現在の場所を紹介して貰いました。元々はエステが入っていた居抜き物件です。駅前なので駐車場が問題点としてあげられますが、引き続き2代目SPOT3の駐車場が使えることになり駅前の店舗ですが無料駐車場が10台以上あります。

今までの反省点を活かして出来る範囲でリノベーションしようということになりました。

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壁紙が女性向けのデザインだったのでみんなでペンキを塗ったり。

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カーペットの床をフローリングにDIYで張り替えました。

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駅前で南側に建物がないため良い雰囲気の明るさです。

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人口15万人の製造業中心の地方都市、県庁所在地ではない栃木県足利市においてコワーキングのみで続けていくのは難しいのではと3年やっていて思っていました。丁度、個室が備わっている居抜き物件だったため個室をシェアオフィスとして提供しています。広さの違いはありますが5室あり、現在全て埋まっています。足利市内のインキュベーションオフィスが現在満室のためか問い合わせが増えていてこちらでもお断りしている勿体ない状況です。シェアオフィス希望者にコワーキングの月額メンバーをすすめていますが「集中して作業が出来る安価な個室が欲しい」という方が多いんですよね・・・。

良かった点

  • ようやく持つことができた「自分たちの場所」
  • 物件オーナーの理解があるので法人登記から電子錠による24時間利用まで実現

課題

  • いまのSPOT3のおかげもあってコムラボの活動範囲が広がる中、イベント企画など、場の価値を高めるためのアクションが疎かになっている(イベント企画やりたい人材が欲しい・・・)
  • 5部屋あるシェアオフィスが満室。問い合わせがあってもお断りしている

まとめ

空間運営の経験のある方からすると「当たり前だろ!」という話ですが、箱は用意するだけではダメ、どんな人に使って欲しいかをイメージし、お金を掛けて空間を作り出す。維持し続けるためのコスト、労力を惜しまないことが重要です。コワーキングスペースと銘打って、テナントを借りて机を並べただけではお客さんは来ませんよー。自分への戒めを込めてまとめとします。

明日のコワーキング Advent Calendar 2015担当は、フリーランスの企業研修コンサルタント・ファシリテーター 高柳 謙さんです。

この記事を書いた人

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代表理事 山田 雅俊

NPO法人コムラボ 代表理事、足利経済新聞 編集長、サードプレース「マチノテ」運営 。生業はIT系。システム開発、Web製作などIT業務の経験を生かし、地方都市における情報格差の課題解決へ向けて企業・NPO法人の両面から取り組む。