とある地方の県庁所在地以外にあるコワーキングスペースのこれから

クラウドソーシングプロデューサー

こんにちは、栃木県足利市でSPOT3を運営しているNPO法人コムラボ代表理事の山田です。SPOT3で店番をしながら書いています。

この記事はコワーキング Advent Calendar 2014に参加しています。今年のコワーキング Advent Calendar 取りまとめはOffice 7Fの星野さん。ありがとうございます!

昨日の記事はコワーキングスペース「ぴこす」の星山さんでした。

今日は栃木県の人口で4番目15万人の足利市で2年以上コワーキングスペースを運営してきた話とこれからについて書きます。

栃木県足利市内のショッピングモール内に2012年7月OPENした私たちのSPOT3は、2014年3月に入居していたショッピングモールの都合で引っ越しを余儀なくされ、2014年4月からいまの場所で営業しています。先日、ショッピングモールへ行ったところ私たちが入居していた建屋は跡形もなく壊されリニューアルオープンしています。(ちょっと寂しい)

ショッピングモールに作ったのは正解で、コワーキングスペースを知らない方でも来店して頂いたり、講座を受講されたりしていました。新しい地域のつながりを作る上で人が少なくなった商店街より、人が多く行き交う場所で行動するのも選択肢としてありだと思います。

私たちのSPOT3はAdvent Calendarの12月10日にCo-Edoの田中さんが書かれた記事(コワーキングスペースを世代別に考えてみて想うこと)に当てはめると第一世代型と第二世代型の中間にあたるコワーキングスペースだと思います。(1.5世代?)NPO法人で借りてはいるけど、専従スタッフはいなくて、NPOメンバーがローテーションを組んで店番。人的資源が足りずに長い時間営業できず、毎日はOPENできないという中途半端な感じ。足りないことは分かっているけど、様々な要因で改善するためのアクションが起こせないジレンマを抱えていました。

地方でコワーキングスペースを運営されている方は認識されていると思いますが、大きな問題は「フリーランスが少ない」ことではないでしょうか。内陸の製造業の街である足利市は県庁所在地ではないため例えばデザイン、IT、広告、編集などの仕事が少ないです。勤めるとしたら小売り、製造業、医療、介護、教育、公務員、以上…みたいな。市場が小さいためコワーキングスペースを作ってもノマド・コワーカーとして来店される方が少ない。どうしてもイベントや交流会をやって来客数を増やすという形になりがちです。コワーキングスペースを作って、様々な職業の方が仕事する場所を地方でも作りたいと最初は意気込んでも、いつのまにかイベンターになっている。イベント参加者は会社員が多くて、イベントをきっかけにお店を知って貰っても利用者にはならない。でも、イベントをやめると収入が減ってしまうジレンマ。

以上のことは作ってすぐに気づきましたが、当初から補助金を貰わずにみんなでアイディアを持ち寄って企画し、NPO法人で運営、ボランティアスタッフで回すという形にしたので低コスト。営業時間を拡大したりしなければ何とか運営できる状態だったので、何となく運営してきたのが現在です。

どうしたらイベントや交流会以外でSPOT3を使ってくれる人が増えるだろうか、これではダメだよな、何とかしなければ…と考えた結果がクラウドソーシングの業界団体であるクラウドソーシング協会の認定資格を取ることと、先日上場されたばかりのクラウドソーシング大手 クラウドワークスさんと業務委託契約を行うことです。前者は一次審査に合格して先日都内の講座を受けてきました。あとは資格取得のためのテストを受けるだけです。後者はクラウドワークス アンバサダー プログラムといいます。担当者がついてくれてセミナー開催など支援を頂けます。

来年、私たちコムラボがSPOT3を通してやりたいことが2つあります。1つ目はクラウドソーシング業界団体の認証資格を取り、地域の中小企業に対してクラウドソーシングのコンサルティング、ディレクションなどです。(発注者支援)2つ目はITスキルのある地域の方へのクラウドソーシングの講座や実際に作業場としてSPOT3を使って頂くことで「地域でITが扱える人材を集める、育てる」。(受注者支援)地域にコワーキングスペースを使うような仕事があまりないのであれば、外から持ってくる仕組みを作れば良いという考えです。
また、地元住民以外にも足利市出身の若者で「足利に帰ってきたいのだけど仕事がない」というケースにもこれは有効だと思ってます。(Uターン促進)

クラウドワークスのみなさんと

コムラボは地域情報をIT活用によって今まで届かなかった主に若い地域住民に対して「足利のいいね」を届ける活動をしています。コワーキングスペースを媒介にITを活用できる方々を育て、増やすことで市民目線での情報発進力を高めていきたいです。

これらのことを今のSPOT3でやるには狭いので、来年前半にSPOT3は移転増床します。IT中間支援組織としての5年とコワーキングスペース運営の2年あまりの間の経験や反省を糧にして活動していきますのでよろしくお願いします!

明日は『つながりの仕事術 「コワーキング」を始めよう』の著者でもある佐谷恭さんです。SPOT3の本棚にもありますので興味のある方はぜひぜひ。

この記事を書いた人

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代表理事 山田 雅俊

NPO法人コムラボ 代表理事、足利経済新聞 編集長、サードプレース「マチノテ」運営 。生業はIT系。システム開発、Web製作などIT業務の経験を生かし、地方都市における情報格差の課題解決へ向けて企業・NPO法人の両面から取り組む。