地域に足りないものは何かを考え、コワーキングの機能に足していく

みなさん、こんにちは。コワーキングスペース SPOT3運営責任者の山田です。この記事は、コワーキングスペース運営者限定アドベントカレンダー4日目の記事です。 コワーキングスペース7Fの星野邦敏さんからバトンをまだ受け取ってませんが、受け取ったことにして記事を書きます。

SPOT3は栃木県足利市にあるNPO法人コムラボが運営するコワーキングスペースです。栃木県と言っても都内からそんなに遠くはなく、電車で2時間くらいの距離にあります。2012年7月オープンしましたのでそろそろ4年半になります。現在の場所は2回の引っ越しを経て「3度目の正直」的な場所であるJR足利駅北口すぐそばのテナントビルに入居しています。

地方の第4都市ならではのコワーキングスペースの在り方

地域にコワーキングがなければ作ってしまおう。コワーキングからはじまるコミュニティが面白い

去年は「地域にコワーキングがなければ作ってしまおう。コワーキングからはじまるコミュニティが面白い」という記事を書きました。この中で書いていることが今回の記事タイトル「地域に足りないものは何かを考え、コワーキングの機能に足していく」です。今回は最近のコムラボ、SPOT3が地域に足りないと感じ、加えていった機能について書きます。

「SPOT3のお客さんってどんな人が来ていますか」「お客さん入っていますか」と他のコワーキングスペース運営者とお話ししていると必ずと言って良いほど聞かれる話題です。SPOT3の利用者はフリーランス3割、法人3割、資格の勉強など自習室として使う方が3割、地域の活動をされている方が1割くらいです。SPOT3は月額メンバー会費が1万円ということもあり、ファストフード、ファミレスなどで勉強していた方が「もっと集中して勉強がしたい」「周りの目を気にしないでやりたい」とうちを選んでくれているようです。

栃木県第4の都市である足利市は人口約15万人の商工業都市です。県庁所在地であればその地域の政治経済の中心なのでフリーランスの仕事、例えばデザインや広告などの仕事はそれなりにありますが、足利市はそうではないのでフリーランスがあまり居ません。好きな場所で好きな時間に働く方が少ないため、コワーキングスペースが本来想定しているマーケットが小さいです。また、賃貸物件の家賃が安いためフリーランスの方でも2DKのアパートなどを住居兼仕事場にしていることが多く、都市部のように仕事場としての需要も少ないです。

要は足利市ではコワーキング単体で事業が成り立たない市場規模であると私たちは考えています。そこで今の場所ではシェアオフィス併設型にすることで持続可能に運営できる形を作っています。

在宅ワーク支援事業を行政と一緒にやってます

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私たちコムラボは2015年度から足利市と一緒に在宅ワーク(クラウドソーシング)支援事業を行っています。最近、DeNAのキュレーションメディア「WELQ」をきっかけに話題(問題?)になっているクラウドソーシングですが、私たちがクラウドソーシングに注目したのは今から3年ほど前です。

なぜクラウドソーシングに注目したかというと4年前にSPOT3をはじめて感じた「本当にフリーランスが少ないなぁ」という体験からです。私は県内の進学校出身ですが、同級生の多くは都内をはじめとした市外に就職をしています。商工業都市なので高等教育で学んだ人の就職先が少ないです。「足利に住みたいけど働くことを考えたら東京に行くしかない」とある同級生は同窓会で話してくれました。私がいま足利に住んでいるのはIT系の自営業でネットとパソコンさえあればどこでも働けるからです。もし就職を考えたら都内へ行く選択肢を考えますし、実際独立するまではそうでした。働く選択肢が少ないということは多種多様な職種が地域に住むことができず、それは地域の多様性、将来性を広げることができないと私は考えます。

子育てや家族の事情などで働きたくても働けない方へ在宅ワークできるスキルを教え、集中して作業したい時、打ち合わせや住所利用などでSPOT3を使ってくれる人がでてきたら良いなと思い在宅ワーク支援事業を行っています。大分回りくどいやり方ですが「市場がないなら創ってしまおう」と考えています。

SPOT3をはじめてフリーランスが成り立ちにくい地域であることを実感した私たちは「仕方ないね」で済ますことはせず「様々な仕事をしている地域にしないとこの地域の未来はない」と考え『地域の新しい「やりたい・かなえたい」を共創する』というミッションを掲げ活動をしています。主に子育て中のお母さんたちが受講する講座を進めていくなかでSPOT3に足りない機能が出てきました。来年のアドベントカレンダーでそのことが書けると良いなと思いつつ。SPOT3の運営を続けていきたいと思います。

次のバトンはCASE Shinjukuの森下ことみさんです。(記事はこちら

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代表理事 山田 雅俊

NPO法人コムラボ 代表理事、足利経済新聞 編集長、サードプレース「マチノテ」運営 。生業はIT系。システム開発、Web製作などIT業務の経験を生かし、地方都市における情報格差の課題解決へ向けて企業・NPO法人の両面から取り組む。