マチノテはなぜコワーキングスペースと謳わないのか。地方ならではのサードプレイス

コムラボ代表理事の山田です。この記事は、コワーキングスペース運営者限定アドベントカレンダー Advent Calendar 2018の6日目の記事です。5日目の記事はコワーキングカンファレンスジャパン 岡 秀樹さんの「なぜコワーキングカンファレンスジャパンを企画したのか?」です。

アドベントカレンダー登録時につけたタイトルは「今年リニューアルしてコワーキングスペースとは謳わなくなったコワーキングスペースの話」。2018年3月に、カフェ&シェアオフィス「マチノテ」をOPEN。これに伴い2012年から運営していた、コワーキングスペース「SPOT3」は役目を終えました。

マチノテはJR足利駅から徒歩3分くらいのところにある1階がカフェ、2階がシェアオフィスです。駅から国宝鑁阿寺、日本遺産足利学校のある観光エリアの間にあります。車社会なので店舗横に20台の駐車場。隣が郵便局、目の前がコンビニ。歩いて行ける距離に銀行の支店が3店舗。駅近なので飲食店がいくつもあってシェアオフィスのお客様もランチに便利です。

SPOT3を5年間運営した結論はSPOT3をやめることでした

去年のアドベントカレンダーで「SPOT3を5年間運営した結論はSPOT3をやめることでした」という記事を書きました。その記事を読み返すと「マチノテは2018年1月OPEN目標」・・・のはずでしたが、ペンキ塗りは延長戦に突入。2月末までペンキを塗ったり、機材を組み立てました。

OPEN準備は2017年8月下旬から着手したので、およそ6ヶ月間、毎週メンバーで集まり、つなぎに着替えてひたすらペンキ塗り。1フロア150平米、2フロアでおよそ300平米のペンキ塗りはやるもんじゃないです。経験談からDIYでやるなら100~150平米くらいが日常生活に影響がないと思います。これからリノベーションして何かをやろうと考えている人はご注意を。

マチノテDIY作業

マチノテDIY作業

マチノテ1年目の仮説検証

人口15万人、栃木県第4都市の足利市で5年SPOT3をやった気づきをマチノテで検証しています。

  1. 地方都市では複合施設がいいのでは
  2. 「コワーキング」という名前を前面に推さない方がいいのでは
  3. 誰でも気軽に入れる「カフェ」という業態で人をつなげる、Wi-Fi、電源などコワーキングスペース機能を備えた方がいいのでは

地方都市では複合施設がいいのでは

以前のSPOT3が「コワーキングスペース&シェアオフィス」で、マチノテが「カフェ(コワーキングスペース機能含む)&シェアオフィス」です。今回、複合施設でより集客しやすい形に作り直しました。SPOT3でもマチノテでも数字を見ていると単一機能だと維持が難しいので、やはり複合施設がよさそうです。シェアオフィスが市内に2件しかなくて、1つは足利市が運営しているインキュベーションオフィス、もう1つがうちです。インキュベーションオフィスは行政運営ならではの入居の条件があれこれあります。マチノテの場合「大人の自習室」として使うお客様もいるので、施設の棲み分けができていると思います。

「コワーキング」という名前を前面に推さない方がいいのでは

「コワーキングスペースって仕事しないと行っちゃいけないでしょう?」と何度も言われたことも1つの理由で、マチノテは1階をカフェにしました。結果、地域の様々な人が来店する施設になりました。勉強をする学生、談笑する若者、地域で活動をする方、もちろんノートパソコンや資料を持参して作業される方も来店。SPOT3に比べて立地が良くなったことも重なり、手応えを感じています。数字としてはまだまだですが、SPOT3に比べたらかなり増えてます。(以前が少なすぎたというのもあります)

誰でも気軽に入れる「カフェ」という業態で人をつなげる、Wi-Fi、電源などコワーキングスペース機能を備えた方がいいのでは

SPOT3にあった機材の多くをマチノテに移動して使っています。うちのスタッフがお客様同士をつなぐ場面も増えてきました。設備も機能もコワーキングスペースにあるものを使うお客様でも、コワーキングスペースと看板に書いてあると来ない人がいる・・・というのが地方都市の現状なのかもしれません。ただ、これは立地の善し悪しも大きな要因なので、現在の立地(旧国道沿いの路面店)でコワーキングスペースをやっても来客は増えていた可能性はあります。少なくても「仕事しないと行っちゃいけないでしょう?」とは言われなくなりました。

私たちコムラボはNPOx地域xマーケティングの掛け合わせで活動しています。OPENしてもう少しで1年、課題も見えてきたので、1つ1つ検証しながら営業していきたいと思います。来年のアドベントカレンダーに「2年目の仮説検証」が書けるようやっていきます。

コワーキングスペース運営者限定アドベントカレンダー Advent Calendar 2018の7日目の記事は、KOILの大須賀さんです。「コワーキングスペースのコミュニティ運営について考える[リミックス完全盤]」。

この記事を書いた人

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代表理事 山田 雅俊

NPO法人コムラボ 代表理事、足利経済新聞 編集長、サードプレース「マチノテ」運営 。生業はIT系。システム開発、Web製作などIT業務の経験を生かし、地方都市における情報格差の課題解決へ向けて企業・NPO法人の両面から取り組む。